柳沢 & 船戸|柳沢・船戸研究室|国際統合睡眠医科学研究機構 (WPI-IIIS)|筑波大学

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中心研究者 柳沢正史 & 船戸弘正

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睡眠/覚醒の障害は単独でも現代社会におけるメジャーな問題であるのみならず、生活習慣病・メタボリック症候群や、抑うつなどの精神疾患のリスクファクターとしても近年注目されています。オレキシンの発見により新しい睡眠学が展開され、近年では睡眠/覚醒のスイッチングを直接にコントロールする「実行系」の神経回路や伝達物質は少しずつ解明されつつあります。しかしながら、睡眠/覚醒調節の根本的な原理、つまり、そもそも『眠気』とは一体何なのか?あるいは脳内で眠気というものがどうやって具現されてくるのかについては、その脳内での局在の有無も含めて全くわかっていません。眠気というものの現象的な側面はよく理解されていて、体内時計による「サーカディアン制御」と近過去の睡眠履歴による「ホメオスタシス制御」とからなる事が知られています。前者は時差ぼけで眠たいという例からわかりやすいと思います。すでにサーカディアンリズムを司る様々な時計分子が同定されて来ています。それにひきかえ後者の「ホメオスタシス制御」とは一体何なのか。徹夜明けに眠たい、という現象はよくわかりますが、その眠たい時に一体、脳の中で何がおきているのか?どういったメカニズムが働いているのか?については全くのブラックボックスのままです。

私たちは10年余にわたるオレキシン研究を通じて睡眠/覚醒という問題に取り組んできました。そして睡眠/覚醒制御の根本に迫るためには全く新しいアプローチが必要であるとの確信を持つに至りました。当研究室ではこの認識に基づいて、眠い脳/眠くない脳の生化学的アプローチによる比較を行うことで『眠気』の正体を探っていきます。また突然変異を誘発したマウスを大量に作成し、脳波測定により睡眠/覚醒異常を示すマウスを選別してそのマウス脳から原因遺伝子を同定するというアプローチにより睡眠/覚醒の根本的なメカニズムの解明を目指して行きます。

これまでの業績

柳沢 正史

柳沢教授は1988年に筑波大学において心血管系に重要な役割を果たすエンドセリンを世界に先駆けて同定しました。その10年後の1998年にはオレキシンを発見して単一の神経ペプチドにより睡眠/覚醒が制御されていることを示しました。2001年からは6年間にわたり実施されたERATOプロジェクトを通してオーファン受容体のリガンド同定を精力的に押し進めました。オーファン受容体のGPR103に対する内在性のリガンドの同定に成功し、このリガンドが食欲、血圧調節などに関与している事を見いだしました。またオーファン受容体であるGPR7の新規のリガンドであるNPB/NPWを単離・同定し、これらの神経ペプチドがエネルギー代謝やストレス、喜怒哀楽の感情制御などに重要な役割を果たしていることを明らかにしました。

船戸 弘正

船戸教授は大学院生時代に東京大学においてアミロイドβ蛋白質の加齢に伴う蓄積を解析し、アルツハイマー病を発症する20年以上前から脳内でのアミロイドβ蛋白質蓄積が始まり、徐々に進行していくことを明らかにしまし。また、アミロイドβ蛋白質のオリゴマーがヒトの脳において最も初期に蓄積していく分子種であることを明らかにしました。また、手綱核から脚間核への軸索伸長の分子機構を明らかにしましたが、その後、テキサス大学において脚間核がREM睡眠に重要な役割を果たしていることも示しました。オレキシン2型受容体がエネルギー代謝に重要な役割を果たしていることや、オレキシン2型受容体が創薬ターゲットとして大きな可能性を持っていることを示しました。また、山口大学において気分障害患者やその血縁者には、特徴的な遺伝子発現変化が見られることも明らかにしました。

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