研究概要|柳沢・船戸研究室|国際統合睡眠医科学研究機構 (WPI-IIIS)|筑波大学

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研究概要

「睡眠を巡るミステリーの解明
~健康睡眠を導く新たな介入法開発を目指して~」

睡眠というありふれた現象は謎に満ちていて、なぜ睡眠が必要なのかということさえ明らかではありません。オレキシンという鍵によってナルコレプシーという睡眠障害の扉をひとつ開いた先には、睡眠・覚醒を巡る大きなブラックボックスが待っていました。このブラックボックスをこじ開けるため、柳沢/船戸グループではフォワード・ジェネティックスを用いた野心的なプロジェクトを展開してきました。ランダムに突然変異を生じた7000匹以上のマウスの睡眠を調べ、遺伝性に睡眠異常を示す10程度の家系を樹立しました。この睡眠異常家系の遺伝子を解析することによって、これまでに睡眠異常をもたらすと思われる3つ以上の遺伝子変異を同定することに成功しました。同定された遺伝子から、睡眠制御のパスウェイが解明されると期待して、日夜実験に取り組んでいます。研究室では、遺伝子改変マウスとウイルスベクターによる遺伝子導入を組み合わせて、特定の細胞を可視化・制御することによって睡眠を司る神経回路の同定することに取り組んでいます。他にも、自然な睡眠覚醒を示すマウスの神経細胞の活動をありのままに観察するin vivoイメージングや複数の多重電極を用いて多数の神経細胞の活動を同時記録する手法や、脳スライスを用いたパッチクランプ法を組み合わせた実験が行われます。さらに、生化学的実験や行動学的実験を行う設備も整っており、ひとつの研究室でこれだけ幅広い実験手法に基づく研究をアクティブに遂行しているところはあまり多くありません。逆に言えば、このような幅広い手法でアプローチをしないと睡眠を巡るミステリーを解き明かすことはできないのです。

研究室では、基礎研究から臨床へ応用できる研究にも力を注いでおり、特にオレキシン受容体に対する低分子量アゴニストの開発が進行しています。この化合物は、実験動物の睡眠覚醒研究に不可欠なツールとなるだけでなく、ナルコレプシーなど過眠症状を呈する疾患への、病態生理に基づいた本質的な新薬候補となります。さらに、睡眠と運動、睡眠と栄養、睡眠と代謝の関係にも取り組んでおり、これらの研究成果が、健康睡眠増進のためのライフスタイルを提言するための科学的根拠になると期待しています。

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